□開花 1
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ある日、事件は起きた。
「っきゃーーっ!!」
千鶴は、はっとして両手で口を塞ぐ。
(皆を起こしちゃうところだった…)
落ち着こうとして、少し深呼吸してみるが、落ち着けるわけもなく。
どうしようどうしようどうしよう、どうしよう!!
ぶつぶつ呟きながら、部屋をぐるぐる回るが、何の解決にもならない。
(……とりあえず誰かに言ったほうが良いよね)
なぜ、自分がこんなことになっているのか、千鶴は見当もつかない。
でも原因は必ずあるはずなのだ。
……普通には、ありえない状況なのだから。
原因が、何かもわからないから、誰かがこの原因を作ったかもしれない。
そう思うと、迂闊に誰でも相談できるわけがない。
……誰に相談するか。
(……やっぱり土方さん?)
いやいや、と考え直す。
確実に怒鳴られる。
自分に原因があるのかもしれないが、もしなかったのだとしたら完璧に怒鳴られ損だ。
(……じゃあ、山南さん?)
それもやめといたほうがいいな、と思う。
薬関係に一番詳しいから、何かわかるかもしれないが、
その反対では、薬に詳しいということは一番原因を作れる人は、山南さんだ。
それに、羅刹隊に一人で行くなんて、怖すぎる。
(……まあ、まだ原因が薬と決まったわけじゃないんだけど)
やっぱり、ここは一番偉い人のところへ行くべきだ。
ちょうど、今日は屯所にもいるはず。
(近藤さんのところへ行こう。)
幸い、早朝なので、誰にもこの姿を見られることはないだろう。
千鶴は急いで近藤さんの部屋に向かった。