□紡ぐ唄。
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「今回は平助の手柄だな!よくやった!」

近藤は嬉しそうに笑っている。

昨日の巡察は、八番組だった。その巡察で、不逞浪士を捕らえた。
その中の1人が長州の者だったのだ、それも重要な情報を持った。
そのことがさきほど終った土方の拷問でわかった。

よって、捕まえた平助は大手柄というわけだ。

捕まえたことによって数日後に行われる長州の思惑は挫かれ、京と新撰組は、
数日間の平和な日々を手に入れた。

「今回の褒美として宴会だ!私の奢りでな!」

「まじで?!近藤さん!!」

平助はよっしゃーっと言いながら、左之助と新八と

「よくやった平助!」「平助の手柄で宴会って初めてじゃねえの?」

などと言い合いながら笑いあっている。

「近藤さんが行くなら僕も行こうかなあ?」
と沖田が笑いながら言うと

「俺は行かねえぞ。」仕事がある、と土方は言った。

「とし、今日ぐらいいいじゃないか。こんな日はめったにないんだ。」

だからみんなでしたかったんだが、と近藤は困ったように言う。

すると土方は、はあ〜っと大きな溜息をついて、
「しょうがねえな。」と、了承した。

「まあ、僕は来ないほうが嬉しいんですけどね。」

「総司、てめえ喧嘩売ってんのか。」

「やだなあ、土方さん。もうぼけてきちゃったんですか?
 売ってるに決まってるじゃないですか。」

今にも抜刀しそうな雰囲気なっていた中、


「お茶が入りました。」

「おお、ありがとう雪村君。」そう井上が答えると、千鶴は、ふんわりと笑った。

最初は殺されそうになり、今でも軟禁状態をしかれているので、
怯えるのは当たり前なのだが、それでも、笑ってほしいと思う幹部たちは
今のように少しずつ笑うようになっているのを見ると、ほっとした。

「そうだ、今日の宴会に雪村君も参加しないか?」

といいことを思いついたぞ、とでも言うようににこにこと突然、近藤は言った。

「えっ?!」

千鶴がどうしたらいいかわからなくて困った表情を浮かべると、

「行きたくないならば、無理にと言わないが。」近藤は申し訳なさそうにする。

千鶴は慌てて、そういう訳ではないんです、と言うと

「近藤さんが言ってるんだし、別に遠慮しなくていいんじゃない?」

ずずっとお茶を啜りながら沖田が言った。



「では、ご一緒させていただきます。」
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