□No.04
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私のオアシス、蛍にくっついて落ち着きを取り戻して考えてみると、そう悪くないかもしれない。
嫌ってる私を、あいつはわざわざ気にかけたりしないだろうから、ある意味、私の望んでいたパートナーの条件はクリアしている。
まだ、めんどくさい奴じゃないだけましだ。

「ちょっと佐倉さん!あなたの星階級いくつ?」


前言撤回。
めんどくさいこと、この上ない。
あいつ自身が、めんどくさくなくても、周りがこれだったら意味がない。


「はい?」

「やだっ、何この子!【星階級】も知らないなんて!!
よくもそんなんで棗君をパートナーに選んだりしたわねっ」


「「選んでないっつの」」


心読み君と声が重なる。
ナイス突っ込み!


てゆーか、こいつこりないなー。
記憶がないときだったけど、1回ブチギレたはずなのに。

このくるくるパーマ、根性あるのか、それとも鳴海と同じで空気が読めないのか。

それより、星階級?
何か1回聞いたような……






あ。
思い出した、ペルソナだ。
でも、何も説明してもらってないんだよなー。

委員長が説明してくれるので、それを聞く。
それによると、星階級とは、生徒が学園から受ける能力レベルや生活態度を総合した評価システムらしい。

またかよ。
人を見下すようなシステム作りやがって。
ここの制度は、いちいち気に喰わないことが多い。


そんなことを思いながら、話を聞き続けていて、日向棗は初等部唯一の幹部生で、蛍と委員長が初等部で3人だけのトリプルであることがわかった。

やっぱり天才と呼ばれるだけあって、実力はあるようだ。

ていうか、さっきから身体がだるくてしょうがない。
完璧、任務のせいだ。
出来るだけアリスを使わないようにしたいが、そうもいかない。

確実に、自分の命が削られていっているのを、蜜柑は感じていた。







「やっべ、次、神野の授業じゃん」

チャイムが鳴ると同時に、教室が慌しくなる。

授業が始まると、さっきとうって変わってシーンと静まりかえっている。
こいつら、弱者に強くて、強者にはシッポ出さない奴ばっかだ。
最低だな。

「――!!」



何かが飛んで来る気配がして、いつものくせでとっさに飛んで来たものを掴む。

「(あいつ、何だ!?後ろからなのに防ぐなんて!!)」

「(どーなってんだよ!)」

しまった。
今は、馬鹿で何も出来ない佐倉蜜柑なのに、いつものくせで防いでしまった。
気をつけなければ。
さっきの、勘がいい蛍や棗に見られてないといいんだけど。

でも、いい加減イライラしてきて、キレそうだ。
ただでさえ、朝から調子が悪いせいで不機嫌なのに、ここまで我慢させられるなんて。




「授業なんてつまんなーい!たこやき大好きコケコッコー♪」



何だこれ。
私、何もしてないのに、何の仕打ちだよ。


「……新入生、お前は何か私の授業に不満でもあるのか?
言いたいことがあるなら、ハッキリ言え。
目障りな態度でこれ以上、授業妨害を続けるならば処罰をあたえる」


あの目。
完璧、目の敵にされてるな。
でも今のは、どんだけ私が悪いようにしたくても、無理だろ。
こんなこと、自分でする奴なんかいない。


「別に、何も。でも、気分が悪いので失礼させていただきます」

ガタンと音を立てて席を立つ。

「……お前、その反抗的な態度は何だ。そのような態度ならば――」

「蜜柑ちゃん、上っ!!」


は?上?


そこにはゴミ箱が。
避けきれないので、咄嗟に無効化のアリスを使う。


セーフ。
こんなことでアリスを使うなんて思ってもみなかった。
一応、亜麻色の髪の上から、昔使ってた余りの同じ色のスプレーをふっていて良かったと思う。


隣を見ると、前を向いて固まっているので、釣られて自分も見てみれば。




ゴミ箱にズッポリと頭を突っ込んだ神野先生が。
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