▽StarDust

□生きる、という事
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朝起きて、身体を起こした瞬間、極稀に襲われる感覚が今日、まさかの朝からやって来た。

あぁ今日は学校が休みで良かった。
あればきっと行けないから…。

「…今日は誰とも、用事無かったよな」

その体制のままカレンダーを見て確認したけれど、まぁ思い付かないからいいや。





今は全部全部何もかも、ドウデモイイ。





どれくらいの感覚を開けてとか、いつどうやってとか、そんなの全く解んないけど、本当に稀に、何の前触れも無く襲われるこの感覚に、自分は狂ってるんじゃないかと思うのは別に至極当然の事で…。
でも誰にも相談出来無くて、病院になんか行きたくなくて(宣告を受けるのが柄にも無く怖いなんて言えないけど)、だからって適当に買った薬なんかでこの衝動が治まらないのも解ってる。

だからただ一人で、一日部屋の中でぼんやりと過ごすのがいつもの事。





喉も渇かない食欲も無い動きたくない眠りたくない何もしたくない…。





カーテンも開けないまま、暗い部屋の中で本当にただ、息をするだけ。
植物にでもなった様な感覚だけど、植物ならきっとこんな風に自己嫌悪の様なモノに襲われる事は無いんだろうな…。

「…っ、ぁ……、はッ」

マズイ、色々と考え過ぎた。
頭に身体が着いて行ってない。
所詮は過呼吸とかいうヤツだけど、厄介だ。





息が、出来ない…。





喉元を押さえて必死に息を吸おうとするけれど、酸素は肺に入ってくれない。
喉がヒュッと鳴る。
苦しくて生理的な涙が出た。

あぁオレはまだ、生きたいんだ…。
なにもかもどうでもよくても、まだ生きる事を望んでいるらしい自分に自嘲気味な笑みが零れた。



「な、んの…為に……?」



生に執着する理由が、解らなくなっていた。

どうして生きたいんだっけ…?
何か、明確で大きな意味があった筈なんだけど…。





♪〜♪♪〜♪〜…

不意にケータイが鳴った。





あぁ、そうだった。
なんて事だ、忘れちゃいけなかったのに。



「……は、ぃ…」

『あぁ起きてたか、良かった』



電話越しに聞こえて来た、愛しい人の優しい声。

オレが、生きる理由。



『あー…特に用事は無いんだけどな、今日暇なら……』



心地良い声を聞きながら目を閉じる。
世界がやけに鮮やかに映った気がした。



「っ…せ、ん…せ……」

『!…そこで大人しくしてなさい、直ぐに行く』



呼んだ声だけでオレの異変に気付いたのか、少し固い口調で早口でそう言って、電話が切られた。

呼吸はいつの間にか落ち着いてて、それまで全く感じていなかった眠気に襲われてベッドに倒れ、目を閉じた。


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