▽拍手log

□今日という日は
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クリスマスだからと言って別段何処かへ出掛ける訳でも無く、あいつは俺の部屋でのんびりと過ごしたいと言った。うんと我儘を聞いてやろうと思っていた筈が、二人きりで居られて嬉しい、幸せだと満足そうに笑うそいつを見ていたら、普段から傍に居られる時間が少ないのだから今日くらい部屋の中に閉じ込めて一日中俺だけのモノにしても誰も咎めないだろうと、狡い考えが頭を過った。

この時季は何処へ行っても人で溢れ返っている。多分、こいつなりの俺への気遣いもあるのだろう。

勿論ささやかではあるがケーキとプレゼントは用意して、今は小さめのクリスマスツリーの飾り付けに余念が無いそいつをソファーから眺めていた。



「出来たかー?」

「もうちょっとですよー」



正直、真剣な姿が可愛い。
楽しそうな様子を見ているだけで自然と俺の顔も綻んでいた。

本当なら今直ぐにでも抱き締めて腕の中に閉じ込めたいところだが、まぁ焦る必要も無いだろう。



「よし!はい琥太郎、」

「ん?」

「最後の仕上げ」



意気揚々と振り向いたそいつが俺に差し出したのは、星。ツリーの天辺に飾る星だ。



「自分で着ければ良いじゃないか」

「琥太郎に着けて欲しいんです!」



手渡されたそれを持って仕方無くツリーに近付く。綺麗に飾られたそれの一番上にそっと、その星を飾った。



「なんでそんな慎重なんですか」

「お前が折角頑張って綺麗に飾り付けたのに、俺が台無しにする訳にいかないだろ」

「台無しって大袈裟な」



そんな俺にそいつが笑い、それを見て俺も苦笑した。完成したツリーを眺めて嬉しそうな顔をしているそいつを横目に再びソファーに腰掛け、手招きして呼び寄せる。

不思議そうな顔をして寄って来たそいつの腕を引いて俺の足の間に座らせ、後ろから抱き締める。



「そろそろ、俺だけを見なさい」



耳元で甘さを含んだ声で囁き、真っ赤になった頬に引き寄せられる様にキスを落とした…。



この腕に囚われて

(数え切れない愛を)
(囁き続けるから)



END

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