▽拍手log
□エセ紳士な狼
1ページ/1ページ
梅雨明けの後はやたらと暑くなる。
日が傾いた夕方は真昼間よりはまだマシかとも思うけど、放課後だからって涼しくなるとかは全くと言って良い程無い。
しかも早く帰りたいなんて思ってる日に限って、会長から仕事の呼出し。
「くっそ、不知火先輩め…」
「早く終わらせてしまいましょう、僕も出来るだけお手伝いしますから」
「ごめん颯斗、ありがとね」
本来はオレが片付けるべき仕事だから今日は颯斗は呼ばれていないのだけれど、手伝うと言って着いて来てくれた。
くそ暑い廊下から生徒会室の中に入れば、会長が点けておいてくれたのか冷房の涼しい空気がひやりと肌を包む。
「あー…涼しー…」
「会長は…いらっしゃらないみたいですね」
「あぁ、今日は用事だって」
天羽も来ないし今日は二人だけだなぁと思いつつ、服の中が蒸し暑くて首元の衿を掴んでパタパタと扇ぐ。
ふと視線を感じて颯斗を見れば、少し険しい顔をしていたのでオレは首を傾げる。
「緩め過ぎです、」
「へ?…あぁコレ?」
自分の首元を指せば頷く颯斗。
まぁ確かに暑いから、ネクタイは緩めてシャツのボタンも第2まで開けてるけど、これくらい普通だと思う。
颯斗はきっちりしていて暑そうだ…。
「良いじゃん颯斗しか居ないんだし」
そう言うと眉間にシワ。
そして次の瞬間には、何だかも物凄く良い笑顔になった。
あぁ、何かマズったらしい。
黒いよ颯斗。
「仕方ありませんね」
「は、颯斗?」
ソファーに座るオレに近付いて来た颯斗は、オレのネクタイに手を掛けた。
そのまま顔が近付いて来て、首筋の肌に直接押し当てられた熱。
「っ、」
吐息が掛かって、部屋の涼しさに忘れそうだった暑さが身体に戻って来る。
スルリと手が滑って、シャツのボタンが1つ2つと器用に外されていた。
そして今度は露になった胸元に、キス。
「男の前で無闇に肌を露出させるのは得策ではありませんね、危険ですよ?ほら、こんな風に…」
「ぁ…っ」
軽く吸われて赤い鬱血が出来る。
そのまま肌の上を、舌が這った。
「他の男の前では、止めて下さいね」
出来なかったらお仕置きですよと言ってオレを見上げて微笑んだ颯斗に、必死に頷いてみせれば柔らかい口付けが唇に落ちた。
「では、誘惑した責任を取って頂きましょうか」
今回は難を逃れられるかと思ったけれど、颯斗は逃がしてはくれる気はないらしい。
仕事が終わるのはまだ先になりそうだ…。
結局は食べられる
(眠ってしまって目が覚めたら笑顔の彼)
(仕事は全て片付いて居て、)
(あぁやっぱり敵わないと苦笑した)
END