秘密の花園

□生徒会室
1ページ/1ページ

下校時刻十分前。

「…竹中…。そろそろ鍵を閉めたいのだが…」

 「ああ。もう少し待ってくれるかな?」

本から目を離さない。

仕方が無いので私は、生徒会室の窓を閉めることにした。

普通に手が届く所は良いのだが、

 「…む…」

窓の上に、もう一つの窓。何時もは開けていないのに、今日は開いていた。

半兵衛の他に、誰か居たのかもしれない。

 「……っしょ…」

近場の椅子を窓の近くまで運ぶ。
そして上履きを脱いで、椅子の上に乗る。

 「…む…届かない…」

椅子の置く位置をミスしたのか、椅子に乗っても、窓に手が届かなかった。

 「…くす…」

 「む。半兵衛、笑うな!」

パタン。と静かに本を閉じる半兵衛。

 「君は…誰かに手を貸して貰おうともせず、そうやって苦戦するんだ」

 「…悪いか…」(あ、届いた)

少し背伸びをすれば、手が届いた。

 「くす…。そんな所も、君の魅力だと、僕は思うよ」

 「……あまり嬉しくないな」

椅子から降りて上履きを履く。
背が低い事を言われれば、逆に腹が立つ。
もう一度、くす…と笑みを浮かべてから、カタ…と椅子を引き、半兵衛は立ち上がって此方に来る。

 「そんな君が…」

大好きだよ。

と言いながら、私を抱き寄せる。

 「…っ//な…何を今更…」

 「僕が言いたかったんだ」

完全下校の時間まで、後…。




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ