秘密の花園
□生徒会室
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下校時刻十分前。
「…竹中…。そろそろ鍵を閉めたいのだが…」
「ああ。もう少し待ってくれるかな?」
本から目を離さない。
仕方が無いので私は、生徒会室の窓を閉めることにした。
普通に手が届く所は良いのだが、
「…む…」
窓の上に、もう一つの窓。何時もは開けていないのに、今日は開いていた。
半兵衛の他に、誰か居たのかもしれない。
「……っしょ…」
近場の椅子を窓の近くまで運ぶ。
そして上履きを脱いで、椅子の上に乗る。
「…む…届かない…」
椅子の置く位置をミスしたのか、椅子に乗っても、窓に手が届かなかった。
「…くす…」
「む。半兵衛、笑うな!」
パタン。と静かに本を閉じる半兵衛。
「君は…誰かに手を貸して貰おうともせず、そうやって苦戦するんだ」
「…悪いか…」(あ、届いた)
少し背伸びをすれば、手が届いた。
「くす…。そんな所も、君の魅力だと、僕は思うよ」
「……あまり嬉しくないな」
椅子から降りて上履きを履く。
背が低い事を言われれば、逆に腹が立つ。
もう一度、くす…と笑みを浮かべてから、カタ…と椅子を引き、半兵衛は立ち上がって此方に来る。
「そんな君が…」
大好きだよ。
と言いながら、私を抱き寄せる。
「…っ//な…何を今更…」
「僕が言いたかったんだ」
完全下校の時間まで、後…。
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