マリオネット〜操り人形の恋〜

□第3話『授業風景』
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 「………」

 「……」

チャイムが鳴ってからもう20分はこの調子。この理科の教師だと言う風間 小太郎先生は、一言も喋らない。
只、黒板に物を書いていくだけ。名前は野霧に教えてもらった。

「………」

かつかつと、白のチョークは先生の言いたい事を正確に映す。
『静かに授業を受けろ』黒板にそう書かれた。確かにひそひそと五月蝿かったが、態々黒板に書かなくても…。

「…(野霧…)」

「ん?」

「あの先生って、昔からああなの?」

「おう。そうだぞ?」

野霧がそう答えてくれた時、チョークが飛んだ。

「った!」

「………」

『野霧、五月蝿い』名指し…!

「悪い悪い。ってか、今日は北条じぃーちゃん一緒じゃないのか?」

こくこく。と頷く。…ってか、誰?

「じゃあ、竹中先生は?」

『授業。二年生の』

「ふーん。片倉先生とかも?」

またこくこくと頷いた。
あの…黒板を野霧と話すのに使わないで下さい。

「あ、2年と言えばさぁ、礼夢先輩。全然変わってないよな〜。相変わらず冷たいって言うかお堅いって言うか。あとさ、楼華先輩とか、佐助先輩にかすが先輩も」

「……」

あの…マジで授業止めないで下さい。
本当に野霧は15なの?実は1っこ上とかじゃないの?
そんな事を考えていると、チャイムが鳴り響いた。

 「……」

かつかつ…と、『授業を終わる』と黒板に書く。そして挨拶もしていないのに、一瞬で消えて行った。

「……?何なの…?」


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