マリオネット〜操り人形の恋〜

□第2話『異界研究部』
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「お帰りなさい」と、誰かが言った。それと同時に誰かからタックルを食らった。

「舞弥。お止めなさい」

あまりにぎゅうっ……と抱かれていたので、誰だか解らなかったけど、凛とした声が呼んだ名前には覚えが有った。

「え〜。新入生へのスキンシップは大事なんだよ〜」

そう言いながら、首を絞めないで下さいっ!!

「舞弥さん?死んじゃいますよ?」

「離してあげて。じゃないとかりんが…」

くっ……苦しい……。
(多分)前田先輩が伊達先輩を引き離してくれたんだと思う。塞がっていた気道が正常になり、足りなくなっていた酸素を肺へと送り込む。

「大丈夫でござるか?」

「……は…はい…」

有難うございます。そう言い掛けたが、何と無く相手ね顔を見て、止めてしまった。
別に深い意味は無いので………いや、はい。ゴメンナサイ……。

「HA!お前は元気が有り過ぎんだよ」

「そうねぇ。何処かの誰かさんと同じで」

「A〜HA?どう言う意味だ」

「そのままの意味ですが?」

何か、喧嘩始めたんですけど……。

「大丈夫ですか?かりんさん」

右往左往している私に、手を貸してくれた。

「あれは放っておいて大丈夫です。……片倉先生。お願いします」

笑顔が逆に怖い。
呼ばれたオールバックの大人の人は、口喧嘩を始めた2人の首根っこを掴むと、有無を言わせずに部屋の外に放り投げた。

「有難うございます」

「いや、何時もの事だ」

「御免ねぇ〜。かりんちゃん。み〜んな野蛮なんだよねぇ。無駄に」

「だよね。新入生の前で口喧嘩始めるなんて…」

「それを放り投げる先生もどうかと思うよ」

やれやれ。と伊達先輩は動作をして、可愛らしい先輩は大袈裟な演技をして、前田先輩は呆れ顔だった。

「………」

「気にしないで。下さい」

「そうそう。何時もこんな感じ」

濃霧まで……。
皆フレンドリーだね。私には理解出来ないよ。

「某が言うのもなんだが、……学習能力が無いのでござろうか?」

「…………幸村君に言われたら、おしまいだよね」

「なっ……杏菜殿それはどういう……」

etr………。

「…礼夢。時間が…」

「解っています」

眼鏡の………先生らしき人が来た。
それから声を掛けて来た紫色のネクタイの先輩が、

「…かりんさん。此処に居る人達の顔。何と無くで結構ですから覚えましたか?」

「……え…何と無くって…」

無理です。
何か部屋広いし、読書してる人も居るし、直ぐ放り出された先輩達も居るし…。

「嗚呼。失礼しました。私は豊臣 礼夢です。それから此方が竹中 半兵衛先生で此方が片倉 小十郎先生です。」

私の戸惑いを見て、豊臣 礼夢先輩は言った。
……いえ、そうでは無いんですが……。
何だろ。この先輩の前だと、改まらないといけない気がする……。

 「それから、此方が上杉 謙信先生です。
…と、言う訳ですので、かすが先輩。猿飛先輩と共に、朱楼さんと妹を送って行って下さい」

 「は…何故…」

 「かすが。わたくしのうつくしきつるぎよ。のぎりやかりんはこのがくえんにきたばかりでふなれでふあんもあるでしょう。おまえがついてあげなさい。それから、そのままおまえもやすみなさい。わたくしからのおねがいです」

豊臣 礼夢先輩に食って掛ろうとしていたお姉ちゃんが、婚約者の人に宥められた。そして大人しく「はい。謙信様」なんて言うと、

 「行くぞ。かりん。野霧」

 「あ…待ってよ。お姉ちゃん」

 「かすが〜?俺様まで置いて行くつもり〜?」

 「知るか」

私達はお姉ちゃんの後えお付いて行った。


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