マリオネット〜操り人形の恋〜

□第0話『悪夢の始まり』
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「ククク……アーハハハハハハハハハハハハ!」

闇夜に気味の悪い笑い声が響く。その笑い声は、何かを隠す為だったのかもしれない。

「……ククク。まさか卿と手を組む事になるとは……」

「それは余も同じよ」

2つの影は、何か怪し気な事をしている様に見えた。実際、怪しい事をしていたのだが。

その現場には、まだ幼い少年少女と保護者的なノリの人が居た。

「……半兵衛……」

「ああ。僕もこれは見逃せないね」

まだ、幼さの残る少女は一人前の様に年上の少年を呼んだ。

「HA!それは俺達も同じだぜ」

「政宗。そんなに大声を出しては、気付かれてしまう可能性が有ります」

「同感です。政宗様」

「……仲良いんだねぇ。こじゅと楼華は」

遊びにでも来ているのか。そう思ってしまう程のほのぼのとした光景だった。

しかし、事態はそんなに悠長では無い。

「……先行します。良いですか?」

「俺も行くぜ」

「政兄〜。政兄が行くと、先行にならない気がする〜」

素直に少女はそう言った。

「…どう思う?片倉君」

「どう…と言われても……「兄様。行かせた方が良いかと」…」

「楼華」。と、妹を呼ぶ。

「そう。私達が先行するから、貴方方は犯人を…」
少女の中では、それで決まりらしい。

しかし……。と、少年は否定する。

「僕としては、秀吉の娘を危ない目に合わせる訳にはいかないよ。行くとするならば、僕と片倉君だ」

「……珍しいじゃねぇか。俺も同意見だ」

「…兄様。竹中さん。それでは、子供では無理だ。と、遠回しに言っている様に聞えます」

気付かない方が良かったのかもしれない。

それを聞いて、茶髪の少年が、

「HA!随分嘗められてるじゃねぇか。…おい。礼夢。行くぜ」

「………はい」

頭に来た少年は、鎌を持つ少女を引き連れて崖を降りる為にギリギリの所でジャンプした。

「…ああ……愉しい…実に愉しい………」

そんな声が聞こえたかと思うと、飛び降りた少年と少女は不意に、無重力を感じた。
しかしそれもたった一瞬で、直ぐに重力に引き摺り降ろされた。

「礼夢!」

「政宗様!」

「政兄!?」

3人が一斉に呼ぶ。

頭上から、幼稚園児位の子供の声。

「信長様の邪魔するなんて、蘭丸は許さないぞ!」

「……ああ。……今日の獲物は、かの有名な組織の人間ですか……ああ。…愉しい………そして何て………」

そして崖の上に残った者達に向けた、気味の悪い声。
最後の「何て………」の後は聞き取れ無かった。

それは、崖の上に残った4人が一様に、刃物で斬り付けられたからだった……。

「……郷は……」

「…!テメェは……!」

「……矢張り、貴男が……」

地に這いつくばる様な形で、2人は男を見ていた。

「丁度良い。郷で試そう」

「…好きにせい」

「な…お…おい!」

離せよ!と、少年は足掻く。しかし、小学生程度の力では、到底なんの抵抗にもならない。

「……!貴様っ!…政宗を離せ!」

「丸、黙らせい」

「了解!信長様」

「…!」

体に異物が入る。
先端の尖った、原始的な凶器が。

「……ま、…政宗…様」

捕われた少年の身を案じる。

その後、その少年の生々しい叫び声が響き渡った。



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