短編小説
□本当の気持ち
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前々から思っていたことを,俺は問いた。
「お前は何でいつも傘さしてんの?」
長い沈黙…
女が顔を曇らせたのを俺は見逃さなかった。
「…………日傘ヨ」
日傘にしては頑丈な気がするし,この女が日焼けを気にするような女だとも思えない。
触れてほしくない話だったのか…。
俺はそれ以上その話に触れるのをやめた。
すると女は俺の顔を覗き込み,言った。
「聞かないアルか…?」
「………お前が話したくないなら聞かない」
「……似てる………」
「は?」
「としろうは銀ちゃんに似てるネ」
「その髪の毛を白くして…クルクルになったらまさしく銀ちゃんネ。」
「やめろって。あんなヤツと一緒にすんな」
「……としろうになら話せるアル。」
そんなに俺は似てんのか…?ツラじゃなくて中身が…
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