短編小説
□保護者
2ページ/7ページ
「あ……酢昆布きれてるネ」
今までなら「行ってきますヨ〜」って銀ちゃんの顔見て欠かさず言ってた…だけど…
最近は背中向けてぼそっと言うだけ。銀ちゃんの目,私見れなくなってしまったヨ。
黒いブーツを穿き,玄関を開ける。
「んぁ〜お前どっか出かけんの?」
小指にハナクソをつけた男が近寄る。
「酢昆布ない。だから行くネ」
なんか変な言い方になってしまったヨ。
「神楽!!」
銀ちゃんの手が私の肩を掴んだ。やめてヨ…心臓が締め付けられる。悲鳴をあげているヨ
「なっ…何アルか?」
「いちご牛乳」
私は泳いだ目を戻し,呼吸を整えた。「……ハイヨ」
――――バカ天パ。急に呼ばれたからびっくりしたヨ。
お前のせいで,私おかしくなってしまったネ。心臓が苦しくなるネ。バカ天パ…お前のせいアル。
「あ〜知らねぇおっさんにはついてくんじゃねぇぞ。男は皆」
「獣アルな」
その言葉,いい加減聞き飽きたネ。だけど…ちょっと嬉しいのは教えてやんないアル。大事にされてるって思えるネ。私の自意識過剰アルか?
.