短編小説

□手ぇ出せねぇ
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銀時は体を起こし頭を掻きむしる。目には涙がにじんでいる。


「おめ…何すんだよー目が覚めちまったじゃねぇか」


「本当に寝てたアルか」


「あ〜…折角気持よかったのによォ」


「ごめんネ銀ちゃん」


首までコタツに入った神楽が答える。


「……………。」


少しの間考え込み,銀時は立ち上がった。


「どこ行くネ」


「厠〜」


…………………






「ハァ〜やべぇな俺も。」

用を足しながら独り言。



今までは何てことなかったが…神楽の顔を上から覗きこんだ瞬間に今までとは違う感情に包まれた。


「いやいや別にそーゆんじゃないから。」


誰に対しての言い訳なのか。銀時は顔の前で手を横に振ると,再びコタツへと戻った。



「スー…スー…」


部屋には規則正しい寝息が響いていた。



無防備に大の字で寝ている神楽。



「かーぐらちゃん」


「スー…スー」



この小さな手を握り締めることができたら



この小さな体を躊躇うことなく抱き締められたら…俺の気持は満たされるのかな



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