短編小説
□ずぅっとずっと…
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「銀ちゃんの手…ゴツゴツしてて汗ばんでて気持ち悪いアル」
「だったら放せば良いだろ」
本心で言ってないくせに。分かり易すぎお前。
「ポリゴンのために繋いでやってるネ。ありがたく思えヨ。」
そこまで言われたら「ケッ放してやらァ!」ってなるよな 普通。けど…俺ァそうなんねぇ。
だって…放したくないし。ポリゴンだから 俺。
間違いなく。
「ほら見られてるアルヨ 私たち。銀ちゃん誘拐犯だと思われてるんじゃないアルか?」
「そーだなー」
「…………おっ…親子だと思われてるアルヨきっと」
「そーだなー」
「…………。」
言ってから後悔すんなよ。俺が否定するのを待ってるくせに。悪ィがそんな素直な反応はみせてやんねェよ?俺が素直じゃないことくらい…もう分かりきってるだろ?
「……………。」
神楽の小さな白い手が俺の掌の中から消えた。
温もりを失った手。寂しい。
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