Novel 2
□ピンク色に染まる頬
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「ふわぁ〜早起きしてよかった!」
体を伸ばして、眠気をはらう。
誰もいないせいかつい、独り言が多くなってしまう。
大きな風が吹いた。反射的にスカートより髪を押さえてしまう。
桜の花びらが風に流れて飛んでいった。
「きれい・・・」
つい一言もらしてしまった。本当に綺麗で美しかった。
口から笑いがこぼれる。飛んでいく桜を走って追いかける。
「アハハ、すっごい〜!!」
立ち止まって改めて、感心する。
両手を広げて、風の心地よさと桜の香りを感じる。
「好きなんだ、桜。」
後ろから、自分とは違う声が耳に入った。
強い風が反対側に吹く。
後ろを振り返ると、桜の花びらに囲まれた少年が優しく微笑みながら立っていた。
あたしは、その少年に恋をした。