Novel 1
□君が好きだと思い知る
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会場は近寄りがたい仮面に溢れていた
恐怖に体がカタカタと震えて、目の前から目をそむける
音楽が始まり、仮面の人たちが優雅に踊り始める。
これで、あの白い仮面がなかったらどれだけいいだろうか・・・
さっきもらった冷えた葡萄のジュースを喉に流し込み、窓ガラスに体を預けガラスに映ったまるで自分じゃないような自分と睨みあっていると、後ろから白の仮面で顔全体を覆ったまるで海の底みたいな髪色の人と自分が重なった
差し出されれた手にキャメロットに習ったことを思い出して、少し残ったグラスを渡すと男の人は慣れた手つきで近くのウェイターに渡す
その動作に見とれていたあたしは、グラスを受け取ったのと反対の手が差し出されていることに少しだけ驚いた
ダンスは苦手だけど・・・・この人に迷惑かけないかな・・・?
差し出された手の上に手を重ねると、仮面の裏で彼が微笑んだ気がした
エスコートされながら、曲に合わせてダンスのステップを刻む
みている人たちの視線が背中に突き刺さりそのたびにステップを踏む足が重くなっていく
無表情な仮面かピエロのような仮面たちが、どこを向いてもたくさんいて目をつぶるようにしてダンスを踊った
そんなあたしに気づいてくれたのか、タキシードの人はふんわりと人ごみを分け外へと連れ出してくれた
ダンスを踊ったままだったから、強く握られた手に布越しから温かい体温を感じて体の奥が熱くなった気がした