Novel 1
□煙で満ちる
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隣人のファインは俺より先に住んでいた住人だった
引越しの挨拶に出てきたときは、低い身長と童顔のせいか中学生か高校生ぐらいにしか見えない人が俺と同じ一人暮らしと聞いた時はこの子供の親は何を考えているんだと思ったぐらいだ
そんなことがあった次の日同じ大学の同じ年と知り思わず耳を疑ったぐらいだった
その日以来、なんだか妙な関係ができてしまいお互いの部屋で夕飯を食べるという仲にまでなった
初めてファインの部屋に呼ばれ少し緊張しながら入った部屋は綺麗に片づけられており感心し
そしてその後出された料理に絶句した
話を聞くと、ファインは壊滅的に料理が下手なのと食事のほとんどがインスタントやコンビニ弁当だと聞き食事はすべて俺が作ることに無理やり決め
悪いと首を振るファインはじゃあ料理以外の家事は全部あたしがするね!と提案して
最初は不安しかなかったのだが料理はダメでも家事は上手くこなせている姿に大きく安堵の息を吐く
変な関係によけいに磨きがかかった気するね。と笑うファインに俺も思わずそうだなとうなづいた
それからしばらくの日が経ち、日課だった煙草を吸っているところを偶然ファインに発見された
でも、ファインは俺の姿に驚きもせず隣に座り俺の口から煙草を抜き取り子供のような口が咥える
大きく煙を吸い込むと、灰がパラパラと落ちていく
煙草を俺の口から戻し、ファインは大人のような顔で笑いながら言った
「ずいぶん、軽いの吸ってるんだね」
そういって自分のポケットから煙草をとり俺の煙草から火を貰い吸い始める
重い匂いに頭のどこかがくらりと痛んだ
子供みたいなくせして煙草を吸いながらにっと笑うファインはどこか大人びていて、目を逸らし天井へ昇る煙を見つめ直した