Novel 1
□煙で満ちる
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いつから吸い出したか分からないが無意識に吸い始め癖になった
考え事をしてたらいつのまにか、白く長い煙を見つめている
これは、もう重症だ。
ポケットに入った煙草の箱とライターを引き出しにしまい最後の一本と決めた煙草を灰皿に押しつぶす
煙で濁った部屋の窓をあけるとみるみる部屋の空気が変わっていく気がした。
マンションの最上階から見る夕焼け空をみながら、また無意識のうちにいつもポケットに入っている煙草に手を伸ばそうとする
そして、膨れていないポケットにさっきまでの行動を思い出し自己嫌悪であー・・・と情けない声が出た
この匂いが充満する部屋にいたら、きっとまた煙草に手を出してしまうだろう
投げ出された財布を煙草の代わりにポケットに詰め込み、部屋を出た
「あれ?お出かけ?」
白い煙を吐き出しながら、隣人はふっと笑った
俺が吸っている煙草より重い匂いが鼻孔をくすぐる
眉間に皺が寄ったのは自分でも気づいた
「なんで、部屋で吸わないんだ」
「う〜ん、今日は玄関前の景色が見たかったからかな」
「相変わらず何考えてるんか俺には分からないな・・・」
シェイドの言葉に少し目を細めたファインがふっと煙を空に吐く
その煙を目で追い、また煙草へと伸ばしそうになる手を押さえる
ちらりと俺の手に目を向け、咥えていた煙草を差し出された。
いらないと呟くとファインがまた笑った
「また禁煙?無理しないほうがいいんじゃないのかな?」
「さすがに医者になろうとしている奴が病気とかにかかると面倒だからな」
ふーん・・・と興味無さそうに返されがんばってねとひらひらと手を振るファインが少し腹が立ち
ファインが吸っている煙草をかなりの灰が溜まっているケータイ用灰皿に押し付け火を消したことを確認し
にっと笑ってやると今度はファインの眉間に皺がよりシェイドのばか!!という声がマンションに響いた