Novel 1
□ブラックstory
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ファインはぼんやりとそんなことを思い出しながら空を見上げていた
いつもより数段に早い雲の流れていく様子を目で追っていく
「ファイン!」
名前を呼ばれて、まるで夢の世界から突き落とされるように現実の世界に呼び戻される
でも、それはすでに遅くてサッカーボールがぶつかった後だった
砂埃とすりむいた痛みがじわじわと広がっていく
ホイッスルが鳴り響き、レインがばたばたとこっちに走ってきた
「ファイン!大丈夫!?」
「うん!大丈夫だよ。ちょっとボーとしちゃってた!」
砂埃を払いながら立ち上がると、ビリビリ電気が走ったみたいな痛みが走った
擦りむいた膝からは多分、血が流れてるんだろうなぁ・・・
なんだか以上に落ち着いてる自分が自分じゃないみたいだった
「ねぇ、ファイン。保健室に行きましょ?」
「大丈夫、大丈夫!これくらい全然平気だよ!」
ビリビリと痛みが走る体は、正直に痛い。
でも、レインの悲しい顔だけは見たくなかった
「まだ続けられる?」
「うん!大丈夫だよ!次は点取るからね!」
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い…
口の中から零れ落ちそうな言葉を止めながら、ころころ転がっているサッカーボールを広いあげ
カロリに投げると、大丈夫か!とカロリが叫んだので大きくうなずいた
「ファイン・・・!」
少しだけ時間が止まった気がした
振り返るとあたしの大好きな人が呼吸を乱しながらあたしを見ていた
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