Novel 1

□大人のキス
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ファインの席に近づき、目を回している彼女の頭に手を置く。





「放課後、教えてやるから温室に来いよ。」




「いいもん。自分で出来るもん!」





さっきのことで、拗ねているのだろうか俺の顔を見ずにプイッと顔を背ける。







こんなに拗ねたファインは珍しい。なんだか、からかいたくなってくる。












これは、あれか、好きな子ほどいじめたくなるってやつかな・・・










「ほら、早くしないと授業が終わるぞ。」






時計をちらりと、ファインが見た。そして、あわわわといいながら







シャーペンを取り、プリントに書く。







「3・・・2・・・・1・・・・」



せかせかとファインは、プリントを埋めていく。






顔がほころぶ。





「終了。」





俺のカウントダウンと同じタイミングでベルの音が学園に響き渡る。



なった瞬間、ファインはうなりながら机に倒れこむ。





「シェイドの、いじわる・・・」





むすっとした顔で、俺のことをにらみつける。









少し、いじめすきたかな・・・






「温室に来いよ。クレソンさんが用意してくれたハーブクッキーもあるぞ。」





ファインが好みそうな話を出す。



さっきまで、拗ねていたはずなのに食べ物の話が出ると

うなだれていた体が飛び上がる。





「うん!!わかった!今日の放課後よろしくね!!」









ニパァと笑う。ここが、教室じゃなかったら・・・

ぶつぶつとそんなこと呟く。










「ファイ〜ン!次、移動教室よ〜!」








さっきまで、ブライトにハートマークを飛ばしていたレインが入り口近くで


ファインを呼んでいる。









「じゃあ、先に行くねシェイド!」




「ああ、放課後にな。」





軽く、別れを告げてファインはレインの元に走っていった。



あたりを、見回すと俺以外の生徒は、






みんな次の教室に行っていた。






無音の教室に俺の足音だけが反響した。








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