Novel 1

□夕日の教室
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「笑うことができないの、学園をハッピーにするために笑わなきゃいけないのに・・・」














窓に写ったあたしは、泣いていた。



でも、今はそんな事を気にしている余裕はあたしにはなかった。






















「どうして、お前が笑わなければならないんだ?」














「どう・・・いう意味?」















声が震えた。



シェイドの言っている意味がわかんなかった。
なぜか、無性に怒りが湧いてくる。






「お前には、たくさんの人たちが傍にいるんだ。 
 もちろん俺だってお前の傍にいる。
 
だから、一人で無理に笑顔を作ろうとするな。」








シェイドの真剣な眼差しに見とれる。


心臓がバクバクして呼吸が苦しくなる。








「お前が笑顔を作れないなら俺が変わりに笑ってやる。
 だから、一人で無理に笑顔を作ろうとするな」








一筋の涙が瞳から零れ落ちる。
もう、止まらない。








「ふぇ、ふぇ〜」








なんで、あたしは回りにいる人たちに頼らなかったんだろう。
ただ、シェイドの言葉と自分の情けなさに涙があふれる。












「俺が傍にいる。ファインは絶対に一人なんかじゃないから。」












シェイドがあたしを優しく抱きしめる。



ただただ泣いている事しかできない自分が情けなく思えてきた。
こんな情けないあたしなのにシェイドは優しく抱きしてくれる。






「ありがとう、シェイド。」






顔を上げ、シェイドにお礼を言う。




シェイドの腕の力が強くなり、顔が胸板に隠れる。






「できるじゃないか、みんなが好きなファインの笑顔。」






シェイドが耳元で呟く。顔が真っ赤になる。








「本当にありがとう。」









あたしは、顔が真っ赤のまま、シェイドと一緒に

夕日に照らされ笑いあった。








END
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