Novel 1

□と ろ け る あ ま さ
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小さな声の主はファインだった。







でも、いつものファインの顔じゃなかった。



顔はいつも見る太陽みたいな笑顔じゃなくて、大人のようなしっかりした顔だった。



手は祈るように空に向けられていて、

手には大切そうに俺があげた三日月のブレスレッドが握られていた。





「今日も、シェイドに話しかけれなかったな。」





願うようにブレスレットに語りかけていた。

嬉しそうに優しく微笑み、手に力をこめる。



ファインは大きく息を吸い込み、大げさに吸い込んだ空気を吐く







「今日も貴方のこと大好きでした。神様、彼に話しかける勇気をあたしにください。」







大人のような顔をしてゆっくりと願い事を繰り返す。







「好きな人からもらったものを握り締めて、願い事を言うんだよね。」







そして目を開けると、いつもの笑顔に戻り顔が輝く。





「わぁ・・・!虹だぁ・・!!すご〜い!!」





ファインの向いている方向には、たしかにあの灰色の雲はなく

綺麗な虹が空にかかっていた。



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