Novel 1
□と ろ け る あ ま さ
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俺の存在にまったく気付かずファインは走り去っていった。
本当に俺は運がないな・・・。
体が重い。これを鬱というのだろうか
「っ・・!」
頭の上に冷たい水が降りかかる。
空を見上げると、さっきみた空よりもっと灰色に染まっていて、
冷たい雨が体の上に降り注ぐ。
「はぁ・・・・」
体の力を奪われていく気がする。
さらに雨が激しくなり土砂降りとなって、体を打ち付ける。
走って屋根の下に入る。
濡れた体が体温を奪う。ハンカチを取り出し濡れた体を拭く。
「夕立か・・・もう少しで止むよな。」
柱に寄りかかり読みかけの本を開く。
読みたいページでちょうど破られていることを思い出し、
気分が沈む。柱にもたれかかりズルズルと床にさがる。
「 ・・・・・・ 」
小さな声が少し止んできた雨の音と重なり耳に入る。
「?」
ゆっくりと立ち上がり、声のするほうに近寄る。
赤い髪と赤い制服が目の中に入る。
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