Novel 1
□たとえばのお話
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がさっ!!がさっ!がさがさ!!
強い風が吹いてるわけじゃないのに木の葉が大きな音を立て頭の上に葉っぱが溜まる。
「あ゛!なんかいんのか!」
少し声が裏返りながら、木の上を見上げる。
ボキッ!!!枝が折れる音が庭園全体に響き静かに消えていった。
「きゃあああああ!!!」
目の前に紫色のものが通り過ぎる。
思わず、腕を伸ばし紫色のものを抱きかかえる。
いわゆる、お姫様ダッコと言うやつだ。
腕の中にいたのは、黄色いドレスで長い紫色の髪をしたプリンセスだった。
とっても、綺麗なやつだと思った。
「えっ、あっ・・・・えっ!」
この格好にか、それとも木から落ちたのを俺に見られたせいか
顔を真っ赤にさせながら、途切れ途切れに言葉を紡いでいた。
ひとまず、腕の中からプリンセスをおろす。
胸のところに月の国の紋章がきらめいていたことに気付く。
「プリンセス....シェイド....?」
「彼方は...もしかして....プリンスファイン....?」
お互いに相手の身分を分かち合った。プリンセスシェイドの顔が
真っ青になる。
「そ..その!あり...がと...うございます」
慌てながら、ぎこちなくお辞儀をする。腕に中からにゃ〜といいながら
黒猫が飛び出す。
「もしかして、猫を助けるために・・?」
なんとなく、彼女の性格的にそんな気がした。
「はい。木から下りなくなっていたところを見つけて。」
猫の頭をなでながら、優しく微笑む彼女はとても神々しく
美しかった。
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