Novel 1
□たとえばのお話
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「ねぇ、プリンセスブライトってかわいいよね。」
体中からハートマークを飛ばし、レインがブライトの写真を握り締める
そんな、レインを苦笑いで見つめる。
「あはは、レインは本当にブライトが好きだね。」
心地よい風を浴びながら、双子の兄のレインの話を聞きながら相槌を打つ。
なんだか、眠たくなってきた・・・。
頭の中にブライトの顔が浮かぶ。
たしかに、ブライトはかわいいとは思う。おしとやかだと思う。
でも、あの、作り笑顔は好きになれない。
「あっ、ファイン!そろそろパーティの時間だよ。行こ」
「ああ。行こっか。」
立ち上がり、レインについていく。
今日は、お日さまの国でパーティが行われることになっていた。
正直パーティは嫌いだ。
おいしいものがあるのはいいが、見ず知らずの他人に
気を使ってダンスなんか踊らなければならないのだろうか。
一応、レインはいるわけだし・・・今日は、サボろう・・。
レインに気付かれないように、小さくガッツポーズをとる。
「レイン。先に行っててくれないか?」
「まさか、サボるき?まぁ・・・別に僕はいいけどさ・・」
はぁ、とわざと大きなため息をつき、呆れた顔しながら
レインがぶつりと呟く。
「じゃあ、母さんと父さんによろしく。」
これ以上レインの小言を聞きたくなく、反対方向を向いて
片手を少し挙げ廊下を走る。
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