Novel 1
□奇跡なんてなんと安易な言葉なのだろうか
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空を飛びたいと思った
透明人間になりたいと思った
壁をすり抜けてみたいと思った
でも、それ以上にずっとレインと一緒にいたかった
昔からお父さんもお母さんも働いて
家の中には二人が寂しくないようにと買ってくれたお人形
そして、顔は似てないんだけど言いたいことがお互いに伝わる大好きなふたごのお姉ちゃんのレイン
広い、広い家の中。
寂しいと思うこともたくさんあったけど、レインと一緒なら平気だった
小学校を卒業して中学校を卒業して高校生になった
たくさん二人でバイトをしてお金を貯めてマンションの一部屋を借りた
部屋数も少ないし、あんまり広いとはいえなかったけどそれでもなんだか二人で大人になったみたいで嬉しかった
二人で干した布団は、ふかふかしててお日様のにおいがする
あたしたちは料理があんまり上手くなくて、でもレインが淹れた紅茶はおいしかった
3ヶ月ぐらいしか住んでないのに、たくさんたくさんの楽しいことを思い出せる
でも、あたしの小さな失敗のせいで全部が壊れた