Novel 1
□大人のキス
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ファインは、学園中の部活に人気がある。
いつも、他のやつのために自分の時間を忘れて走り回っている。
そいつが、アイツのいいところといえばいいところなんだか・・・
なんていうか、俺にとってはそれがまったく気に食わない。
「ファイン。お前さ、つらいとか思わないわけ?」
クラス合同の自習の時間に俺は、ファインに聞いてみた。
一人で、課題のプリントに頭を悩ましていたファインは俺の声を聞くと
すぐに、振り返って俺に向かって微笑む。
「なにが?」
小首をかしげ、不思議そうな顔をする。
思わず、ため息が出そうになった。
「だからさ、毎日毎日他の奴らのために動くことをだよ。」
呆れながら、話す俺に少しあわてて、ファインは俺の隣に寄ってくる。
俺の隣のイスに座り、あと少しで、くっつきそうな位置まで側によってきた。
「だって、みんなハッピーになってくれるんだよ。だから、あたしはいいの!」
くっと大きく、腕を伸ばしファインがいい払う。
「それに・・・」
ファインが俺に寄りかかる。顔は見えないが、耳が真っ赤だった。
「シェイドがそばにいるんだもん。だから、大丈夫だよ」
笑うファインに嫉妬という感情がどこかに飛んでいく気がした。
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