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□風邪
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月の国特有のひんやりした夜の空気がシェイドの部屋を包んでいた

















目の前で苦しそうに呼吸するシェイドの額は火がついたみたいに熱かった























傍においてある白いタオルで汗をぬぐう













ゆっくり開いたシェイドの目は熱のせいでかすかに潤んでいる





















「ファイン…」























消えちゃいそうな声に胸が痛くなる

















「ごめんね、起こしちゃった?」














「いいや、ちがう…」

























優しく頭の上に手が置かれた











胸の痛みが止まらない…


















「今ね、レインとミルキーがスープ作ってるの。ちょっと、見てくるね」



















もしかしてあたし、シェイドに気を使わせてるのかな…






そんなことを考えるとよけいに胸の痛みは止まらない











身を翻し、ドアノブに手を伸ばす














くん、と手が後ろに牽かれる。








驚いて振り返るとシェイドの長い指が目に映った























「傍に、いてくれないか・・・」





























いつもの大人みたいな顔じゃなくて小さな子供みたいな顔







熱のせいもあるけどシェイドに頼られてることがうれしくて、










つかまれた手を握り返す













ふわっと笑い、シェイドは安心したように目をつぶった









空いた手で乱れた髪をゆるゆると直す、あたしが風邪のときもシェイドはこうしてくれたっけ・・・

















夜の静けさに混じって小さな寝息が聞こえる
















掴んでる手を両手でにぎるとシェイドの体温が流れ込んでくるみたいにあたしの手も熱くなった













「ずっと、傍にいるから早く元気になってね」














シェイドに届いたかわからないファインの言葉が夜の闇にまぎれて消えていった









 

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