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□雨 の 中
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「うわー…これは。」























おとなしく、レインとプーモの言うことを聞いとけばよかったな
























はぁと大きくファインはため息をついた



















目の前では、この豪雨のなか声を上げながら走っている人たちがとても勇ましく思える
















吐く息が白く、雨のせいでよけいに外の気温が寒い






























早く、お風呂はいりたいな…





























ファインが何を思っていても、空は一向に灰色に染まったままだった



















また、口からため息が漏れる























「どうしよ、止みそうにないし走って帰ろうかな…」











「傘、忘れたのか?」











「えっ、わっ!!」





















後ろからした声に驚きすぎて、思わず足のバランスが崩れ床に座り込む







ひんやりした床が全身の体温と一体化していくようだった



















「すまない、大丈夫か」











「うんっ、あれ?シェイド?こんな時間までどうしたの?」















制服についた砂埃を払いながら、立ち上がる







シェイドは靴を履き替え、2・3度地面に踵をたたいていた













「さっきまで温室にいたんだ」







「そうなんだ〜」








「そういえば、お前今日傘持ってきてないのか?」










「うん、まさかここまで強いとは思わなくて」










「そうか、俺の傘でよければ入っていくか?」













「えっ、いいの!ありがとう、シェイド」















優しくてあたしより大きくて温かい手でくしゃりと頭がなでられた









顔、赤くなちゃいそう・・・・









両手で押さえる頬はさっきより少しだけ暖かかった















「ほら、帰るぞ」







「あっ、うん!」















シェイドの少し大きな傘に飛び込み、一緒に歩き出す






かばんを胸の前で持ち、右手が温かいもの触れた









心臓の音がどくりと跳ねる












「その、ファイン…」








「ふぇ・・・!」
















「・・・・手、繋がないか」
















そっぽを向いたまま、独り言のようにシェイドはつぶやいた









さっきまで、寒かった体が熱を上げていく















「う、うん…」














ぎこちなくシェイドの空いた手を握り返す












あったかい・・・











横目で目上のシェイドの顔を盗み見る。









その顔はなんとなくいつもより赤くて、耳も赤く染まりきっていた















ファインはほにゃと顔を崩して笑った











明日も雨降らないかな…なんてことを思いながらもう一度幸せそうに笑った









  

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