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□雪の中の兄妹
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はぁと、小さく息を吐くとそれは白い吐息となり空気の中に消えていった



















隣で握っている小さな妹の手は手袋越しなので本当の体温というものがよく分からない。














でも、寒さで耳と頬を赤くした顔を見るとやっぱり寒いんだろうな・・・



















そんなことを考えつつ握り締める手の力を少しだけ強めた



























「おにいちゃん、おにいちゃん」













「んー、なんだい?」














「あのね、今日はね自分の好きなものを描いたんだよ!」





















商店街がにぎわう時間











過ぎ行く人々の声の中から聞こえる甘い無邪気な声
























「へえ〜、ファインは何を描いたんだい?」

















「おにいちゃん!」























きゅん…心臓を矢のようなもので打ち抜かれる





ああ、僕はこの子の兄に生まれてよかった!
















しみじみそんなこと思いながら、にやける顔を空いている手で隠す

















「おうちに帰ったら見せてくれる?」











「うん!いいよ!」





















ああ、やっぱりかわいい…







心のそこでガッツポーズを決める自分がいた









































「おかーさん!!」











































商店街の人々の中から聞こえた小さな子の声









ファインと同じくらいの男の子













握られてる手に少しだけ力が込められた
















下を見ると、ファインの目はその男の子とその家族に釘付けで魅入っていた























握られてるこの手から少しずつファインの感情が伝わってくる































「ファイン」













「!・・・なに?おにいちゃん」





















上ずった声。怯えたような目。





ごめんね。僕はどうやっても親は作ってあげられない













ファインの一番ほしいものを作ってあげられない・・・

















そんな顔をさせてごめんね。





































「お母さんとお父さん、ほしい・・・?」

























今度は僕の声が上ずる







ファインの目に映る僕はひどく慌てた顔をしていた

















「う〜ん!いらない!」

















「えっ・・・」























「あたしには、おにいちゃんがいるもん!」















「ファイン・・・」



















胸が締め付けられる







苦しくて苦いような痛みと自分を頼ってくれるという嬉しさの狭間を心がいききする



















「ケーキ食べて帰ろうか!」









「ケーキ?」













「そう、ケーキ!」

























そうだ、決めたじゃないか。







親の代わりにはなれないかもしれないけど僕は僕なりにファインを育てようと・・・
























「それに、今日はねファインの好きなもの作ってあげる」
















「えっ、ほんとに!わ〜い!」




















小さな体で飛び跳ねながら繋いでる手を離し、少し先に走っていく





















「おにいちゃ〜ん!はやく〜!」























僕もファインの元へ、走っていく。










もう一度、手を繋ぎなおし幸せを確認する















一緒に歩き出すと、空の上からひらひらと舞い降りてくるものが肩の上にのった
















「ファイン!」



















下を向くと、輝く目をに向けた妹と視線がぶつかった












顔を見合わせて、一緒に笑いあう


















「おにいちゃん、ケーキ!何個食べていい!?」













「晩ご飯があるから、1個だけ!」













「え〜!」




































END

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