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□夏がきた
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ちりん、ちりん、ちりん、ちりん……





















わずかな風なのに風鈴が揺れて涼やかに音を鳴らす















ファインは舐めていたアイスを口にくわえ空を見上げ、ベットに頭をおいた











その隣では、うつ伏せのレインが大きくため息をつきながら人形を抱きしめる























「暑いわね〜」











「そうだね〜・・・」





















ジリジリジリジリジリジリ……











セミが二人に追い討ちをかけるように騒ぎ始めた










ますます、二人の体力が奪われていく

















「ホントに暑いわね〜」









「夏だもんね〜・・・・」















ファインの手の中でバニラのアイスが溶け、白い液体が腕を伝い下へ下へと零れていく









窓の外では、セミが歌うように鳴いていた

















「ファイ〜ン・・・」















「なぁに?レイン」















「いつになったら涼しくなるのかしら〜」






















レインの問いに思わずファインは苦笑した







アイスを持っている反対の手でうちわを持ち直し、生暖かい風としかいえない風をレインに送る



















「ねぇ、レイン。・・・みんなでカキ氷パーティでもしない?」


















「この日差しの下で、テーブル用意したり氷の用意ができる?」
















ジリジリジリジリジリジリ……








あっ・・・と小さくファインが声を漏らした





今度はレインが少しだけ苦笑する


















「それでも、カキ氷パーティはやりたいなぁ〜」














「ファイン、いい考えがあるわ」














「ん?なぁに?」














「夏が終わって、涼しくなったらパーティしましょ」

















チリ〜ン、チリ〜ン、チリ〜ン……














「それじゃあ、カキ氷パーティより鍋パーティがいいね」












「それもそうね」













しばらくの沈黙が流れた








二人同時に吹き出し、笑い出す












セミの声が一際、大きくなった









ポトリ・・・とファインの最後の一口が床へ零れ落ちた。






















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