Novel

□ポッキーゲーム
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「セブルスーッ!!」

静かな図書館に陽気な声が響いた。館内にいた生徒たちの視線が声の主のは方に一斉に向けられた後、名前を呼ばれたセブルスの方に向けられた。セブルスは盛大に嫌そうな顔をして、その声の主を見た。

「…図書館で大声を出すな、ポッター。そして貴様の顔など見たくない、帰れ。」

セブルスは冷たく声の主、ジェームズ・ポッターに言い放った。
だが、ジェームズはそんなことは全然気にしていない様子でニコリと笑った。
「酷いなぁ〜セブルス。僕と君の仲じゃない!」
「どんな仲だ、気色悪い」

不機嫌そうな顔を更に歪ませて自分を睨むセブルスの細い腕を掴み、人がいない奥の方へと引っ張って行った。

「……ッ!一体何なんだポッター!!」(小声)
「セブルス!ポッキーゲームしよう!」
「…は?」

ジェームズから唐突に発せられた言葉にセブルスは目を丸くした。
セブルスが驚き固まっている間にジェームズは素早くポッキーを取り出し、未だ呆けているセブルスの顎をガッと掴み、その口にポッキーを押し込もうとした。が、寸でのところでセブルスが顔を背け、両手でジェームズの手を引き剥がそうとした。
するとジェームズの顔から一瞬笑顔が消え、ここに居る筈のない二人の名前を呟いた。

「シリウス、リーマス」

ジェームズがそう呟いた瞬間、セブルスの両肩に人の手が乗った。セブルスが横目で背後を見ると、誰もいない空間が歪み、右側にシリウス、左側にリーマスが現れた。そう、二人共最初から透明マントを被ってそこにいたのだ。

「くっそ〜息苦しかったぜ…。おい、ジェームズ、さっさと終わらせちまえよ。」

メンドくさそうな顔をしながら頭をかいていたシリウスは、ジェームズに言った。

そして、必死に抵抗していたセブルスの右手を有無を言わせぬ力でジェームズの手から引き剥がした。

「…ごめんね?セブルス…」

申し訳なさそうに微笑んでいるリーマスもまた、その細い腕からは想像もつかない力でセブルスの左手を引き剥がした。三人がかりにはさすがに抵抗も効かず、またジェームズに顎を引き戻され、向き直る。

「さぁ、口を開けて?セブルス」

笑顔に戻ったジェームズが口元にポッキーを突き出してくる。しかし、それをセブルスが無視すると、ジェームズは少し考えた後、何かを思いついたような顔をして口を開いた。
「…じゃあ、仕方ないね。…セブルスはエバンズのことがs「きっ、貴様!!何を…!?」

ジェームズの口から信じられない言葉が大声で発せられ、セブルスはつい口を開いてしまった。
その隙をジェームズが見逃す筈もなく、セブルスはあっさりとポッキーを銜えさせられてしまった。その時、背後の二人の肩と腕を掴む力がまた少し強められた。

セブルスは最後の抵抗としてもう一度ジェームズを睨んだが、やはり効き目はなく、ニコニコと笑っている。そして、顎の拘束が解け、セブルスの頬がジェームズの温かな両手で包まれた。

「好きだよ、セブルス…」

まるで、背後のシリウスとリーマスなんかいないかのような甘い声で囁かれた。それからジェームズは自分に向けられているポッキーをゆっくりと齧り始めた。
カリ、カリ…とポッキーを齧る音とジェームズの呼吸音だけがセブルスの耳に入ってくる。もう少しで互いの鼻と鼻がぶつかりそうだ。
その妙にゆっくりな間が気恥ずかしくて、セブルスはギュッと目を閉じ、耳まで赤くなった。

そんなセブルスの様子を見てクス、と笑ったジェームズは最後の一口を齧ると、そのままセブルスに口付けた。

「………ッ!?」


セブルスはいきなり唇に柔らかな感触を感じ、目を見開いた。ジェームズは何をするでもなく、ただ長い間セブルスと唇を合わせていた。
その光景をシリウスはヒューと口笛を吹きながら締まりのない顔で眺め、リーマスは哀れむように顔を背けた。

…ただ、本当に長かった。

「んーっ!…んーーッ!!」

セブルスは限界を知らせる為に唸った。するとジェームスは唇を離し、少し息を乱し呼吸しているセブルスの右耳に唇を寄せ吐息混じりの声で囁いた。

「あんまり声出すと、みんなに聞こえちゃうよ?セブルス…」

その声に突然耳元で囁かれたせいでフルと肩が震えたセブルスよりも、右肩に手を置いて押えていたシリウスが反応し、ついセブルスの手を離してしまった。チャンスだと思ったセブルスは、その隙に力を振り絞ってリーマスの腕を振り払い、ジェームズを突き飛ばした。
最後に、

「貴様なんか大嫌いだ!」

…という何とも可愛らしい一言を残して、セブルスは本も貸りず早足で図書館を後にした。

「もー、照れちゃって!セブルスったら可愛いな!!…せっかく良いところだったのに何で手を離しちゃったのさ、シリウス」
ジェームズは頬を膨らませながら、今の状況を作る原因となった親友に文句を言った。

「お前の息が俺の手にまでかかって気持ち悪かったんだ!!」

俺が悪いんじゃないと言うシリウスの言葉を耳半分で聞き、この後また懲りずにセブルスに悪戯を仕掛けに行くのは、また別のお話。


                                  END




あとがき
初鹿猫小説です!
壊滅的な文章力で申し訳ないです、はい…。
今回のテーマはポッキーゲームでしたが、そもそもイギリスにポッキーはあるのかと思い調べてみたところ、イギリスにはMIKADOという名前のポッキーがあるそうです。
では、こんな駄文を読んでいただきありがとうございました!

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