読
□曖昧な記憶の中で
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記憶なんて適当で曖昧なもの。
そうでショウ?
「ねぇ、私が死んだらレイムさんは私のこと…忘れてしまいますカ?」
またザークシーズが訳の分からないことを言い始めた、とレイムは思っただろう。
「…は?」
仕事途中のレイムは手を止めて聞き返す。
「あれ、聞こえませんでしたカ?レイムさん耳遠くなりましたネェ〜」
「違う!お前の言っている意味が分からないんだ」
そう言い返せば首を傾げるブレイク。
「意味って…そのままですケド?私が死んだらレイムさんはいつか私のことを忘れてしまうんでショウ?」
クスクスと笑いながらブレイクは言う。
彼にとってはたいしたことではないのか楽しんでいるようにも見える。
けれどレイムとっては冗談でも死ぬ、と言う言葉を言って欲しくなかったのだろうか、少し不機嫌そうな顔をしていた。
「…忘れない」
「本当ですカァ?」
「忘れない!」
頑として譲らないレイムの言葉にブレイクは一瞬驚いてから直ぐに表情を崩してクスクスと彼に笑いかける。
「嬉しいこと言ってくれますネェ…だけど、記憶なんてアテになりませんヨー?」
レイムさん記憶力いいくせに肝心なこと忘れますからネェ、とブレイクは言う。
「…なぜそんなこと聞くんだ?」
「別にィ?ちょっと聞いてみたかっただけですヨ」
表情を崩さないレイムを見てブレイクはそんな気にしないで下さいヨー、とケラケラ笑っている。
そしてすくっと立ち上がり飴缶のしまってある戸棚をごそごそと漁る。
そんな後姿を見つめていたレイムは何を思ったのか、立ち上がりブレイクを後ろから抱きしめた。
「…バカザクス」
「ちょっ、と…レイムさん…?」
突然の抱擁に驚いたのかブレイクは飴缶を探す手を止めて横目で相手を見る。
「例えお前が死んでも、お前が私を忘れても、お前に、何があっても…私はザークシーズ=ブレイクという存在が在ったことを忘れはしない…」
絶対に、とレイムは言い切り、ぎゅうっとブレイクを後ろから強く抱きしめる。
そんな相手の様子にブレイクは困ったように笑った。
「今日のレイムさんはなんだからしくありませんネェ……私だって、レイムさんのこと忘れたりしませんヨ…私が死んでも、ネ?」
ブレイクが困り顔でクスクス笑っていると、レイムは目を瞬かせてからふっと笑う。
「それの方が無理だろう…」
お前のことだから直ぐに私のことなど忘れそうだからな、とレイムは皮肉を込めて言った。
「ふふ…そうかも知れませんネェー」
可笑しそうに笑ってから、ブレイクはレイムの腕の中でくるりと回転して相手と面と向かう形になる。
「だから、忘れてしまわないように今の内に私の身体にレイムさんという存在を刻み付けて下さいヨォ」
一生が終わった後でも覚えていられるようにネ、そう言って相手の唇に触れるだけのキスをする。
自分の方が背が低いから少し背伸びをして、小さなリップ音を立てて。
曖昧な記憶の中で
それと同時に貴方にも私と言う存在を刻み付けたいんですヨ、なんてネェ…
(大好きですヨ?)
(…煩い)
(うわー照れてるんですカァ?)
(…煩いッ)
fin.
―――――――
レイブレ。
甘いのを目指した、は、ず…
若干シリアス?入ってるような気がするのはきっと気のせいです←
甘いのが書けない私は病気でしょうかorz
09.11.24.