□運命だなんて
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そんな不確かなもの信じてない

…はずだった



















「…んー…」

「起きたか?ザクス…」


薄っすらとまだ覚醒し切れていない目を開ける。
どこかふわふわとした感覚で声のしたほうを向いてみれば読みかけの本を片手に自分を見ているレイムさん。



「……アレ、私…?」



レイムさんの肩に預けていた頭を上げ小さく首を傾げる。
寝てしまった記憶も彼の肩に頭を預けた記憶もあまりなかった。


「…任務から帰って来て私の所に来ただろう?」

覚えているか?と尋ねられ、私は必死で記憶を蘇らせてみる。

「…なんとなく、」

「その後、気付いたら寝ていたんだ」


その時の情景を思い出したのか苦笑している彼。


「ご迷惑お掛けしましタ…」


自分は覚えていないとはいえ、彼も仕事で疲れているんだろうに私のせいで長い時間動けないままだったのだ。

一言謝ってから立ち上がると、んーっと背伸びをする。
長時間同じ体制で寝ていたせいか背中がポキポキと鳴った。

レイムさんは気にするな、と言って自分も軽く背伸びをしていた。


「あ、ちょっと外の空気吸ってきますネ」

そう言ってから部屋のドアに手をかけると、


「ザクス」


自分を呼ぶ声に振り返る。





「お前は運命を信じるか?」






問われたことは、あまりにも唐突で私は思わず目を瞬かせた。



「………どうしたんですカ?いきなりそんなコト…」



やっとレイムさんの問いが頭に染み込んできて私は首を傾げる。

本でしか聞いたことの無いような台詞を彼が言うなんてどうかしてしまったのだろうカ…

そんな考えが頭を巡っているとレイムさんは立ち上がり私に近寄ってきた。


「信じるのか?信じないのか?」


どうやら答えない限りこの部屋から出られそうに無いみたいだ。




「……信じていませんヨ、そんなモノ」


口から出たのは自分でも驚くくらいの冷たい声。


主が滅ぼされ、チェインと契約し、挙句にシンクレアのお嬢様の命まで奪ってしまった。
そんな運命、呪ってやりたいと思っていたのだカラ。

私の運命もお嬢様の運命も、信じたって何も変わりはしなかった。




「…そうだな、ザクスならそう言うんだろうな…」


そんなレイムさんの言葉に私は不思議に思った。


「何ですかソレ…私がそう答えると分かっていて聞いたんですカ?」

彼は私の問いには答えずそっと私の頬に触れて答える。



「それでも、私はお前と出会えたことを運命だと思いたい」




驚いた。
まさか彼の口から、そんな言葉が出てくるなんて…。




「だってそうだろう、お前は私が生まれたよりもずっと過去から来て、」


アヴィスで時間を越えて私達の時代へやってきた、とレイムさんは続ける。


「こうして今、お前に触れられる…」

そう言って彼は私の体を包み込むように抱きしめた。



「……バカですネェ、レイムさんは…」

どうしようもなく温かい感情が胸に広がり、私は思わず言葉を漏らした。



どうしてこうも嬉しいことを言ってくれるんだカ…。








でも、今なら信じてみてもいいと思った。
彼が私と出会えたことを運命だと言ってくれるなら、私もその運命を信じてみたい。







「レイムさん、」










命だなんて
じゃあ私が彼を好きになったのも運命なんだろうか



(私ネ、ずっとレイムさんのことが好きだったんですヨ?)
(…知っている)





fin.
――――――――
途中で書いている方向性を見失いましたorz
レイムさんがレイムさんじゃない…
こんなはずじゃなかった…こんなはずじゃ…

09.11.11.


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