REBORN

□君に恋をした
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応接室にやってきた眠り姫











本当にわけがわからなかった。


自分を恐れ、応接室にはだれ1人として今まで近寄る者はいなかった。




だけど今、自分の前でスヤスヤと眠る謎の少女がいる。




朝、遅刻した生徒の取り締まりをやり終え応接室に入ってみれば、ソファーで気持ち良さそうに少女が眠っていた。


「君、誰?」

「……ん"ん"〜………スヤスヤ……」


時計を見ればもうとっくに授業が始まっている時間だ。


風紀委員として、ここでいつまでも授業をさぼっているのを見過ごすわけにはいかない。


「ねぇ、起きなよ」

「…………………」

「無視するなんて良い度胸してるね…早く起きないと
咬み殺すよ」

「…………………」


声をかけても全く起きる気配がない。

今度は少し、体を揺すってみた。


「ねぇ、起きなよ」

「…〜っ……んん〜………」


やっぱり起きる気配はない。


雲雀は痺れを切らし…



カチャッ



トンファーを構えた



スッ



そのままその少女に降りおろそうとした、が…


「ハァ…弱い草食動物には興味ないな」


面倒になり、雲雀は応接室を出ようとした。


「…行かないで……」


少女が雲雀の学ランをつかむ。

いつのまに起きたんだ…

顔はまだ完全に寝ぼけていた。だが、その頬には涙が
つたっていた。

寝起きだというのに少女の顔は酷く疲れた顔をしていて、表情はとても悲しかった。

雲雀は少女の涙を指ですくい、そっと頭を撫でた。

すると少女は雲雀にニッコリと微笑むとまた眠りについた。


自分がどうしてこんな事をしているのかは、自分でも
わからない。


ただ、今目の前にいる少女にずっとここにいて欲しいと思った。


「僕は…ここにいるよ…」


そう言って少女の綺麗な長い髪に指を通すと、眠っている少女が微笑んだように感じた。

もう一度指で髪をとかすと、ほんのり甘い香りが雲雀を包む。

名前も知らない目の前の少女が、今は愛しく思える。


「ふぁ〜ぁ…」


雲雀はやんわりと少女を抱きしめると、自分も眠りについた。








今はまだ気づいていないことにしておこう。


1分1秒でも長く、君の側にいたい…













僕は君に恋をした







END
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