月下の記憶
□月下の記憶 第一夜
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「骸様はお肌が白すぎます!!」
突然凪にそう言われ、目を丸くしたのはつい先ほどのこと。
「・・・・・・はい?」
「お仕事ばかりでは体に負担がかかりますよ?
たまには息抜きも必要です!
・・・・・・ということで骸様、歌舞伎を観に行きましょう!!」
という凪の言葉で強引に連れ出されたのだった。
「ところで、なぜ歌舞伎なんです?」
「私が観たかったからです。」
「・・・・・・」
「・・・だって・・・友だちは皆観たっていうし・・・その・・・」
「いえ、別にいいですよ。
僕も興味がありましたしね。」
歌舞伎の公演場内は、人が混雑していた。
「混んでますねぇ。」
「やっぱり人気なんですね!!」
「それはまぁ・・・あの“藤娘”ですからね・・・」