企画部屋!

□バ
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「六道骸の事なんだけど」


「はい」


「最近同じ夢を見るんだ。

 夢の中のあいつは、とても哀しそうな顔をしている。」


「恭さん…」


「わかってるよ、もう骸が僕を必要としていないことぐらい。

 あいつは、僕を捨てたんだからね」


視線を庭へと向けたまま、雲雀は微笑した。

それは、少し自嘲気味な笑みだった。


「思えば、最初はゲーム感覚で付き合い始めたような気がする。

 遊びのはずだったのに、だんだん本気になってしまって…

 今でも骸に惹かれる気持ちは変わっていない。

 だから、どうしてそんな哀しい瞳をするのか知りたいし、

 そんな顔、して欲しくない。」


草壁は黙って聞いていた。


「…好きだという感情が骸に芽生えなかったら良かったのに。

 会いたくて仕方がなかった時ではなく、どうしていまさら夢に…」




「すみません」




静かな声で草壁は言った。


「…え?」


「怖かったんですよ、

 君と同じように僕も君を本気で好きになってしまったから。

 自分が、弱くなっていくようで怖かった…」


発する声は草壁のものなのに、その口調は。


「…骸…」


草壁の体が霧に包まれ、現れたのはやはり骸だった。

幻覚で変装していたのだろう。


「草壁君には少々眠ってもらっています。」


「骸…」


「はい」


「君のさっきの言葉は、僕にとって都合が良い様にとっていいのかな」


「かまいませんよ、それが真実ですから」


骸がそういうと、雲雀は泣きそうな顔で笑った。

泣き顔を見られたくないだろうと、骸は雲雀を抱き寄せる。

胸の中の雲雀が小さくつぶやいた言葉に、

骸はただいま、と答えたのだった。








biorhythm
 (生物の活動にみられる一定の周期的な変動)
 
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