企画部屋!
□む
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ある夜のこと。
バーの片隅で、男が一人、お酒を飲んでいた。
誰かを待っているのだろうか、
先ほどから腕時計をちらちらと気にしている。
「…おや」
「!」
「男の方が一人でお酒ですか?」
寂しいですねぇ、そういう背後の男に腹が立ったが、黙ってお酒を飲み干した。
「そこの貴方…可愛らしい嫉妬で僕を困らせた恋人をご存知ですか?」
男――雲雀は、顔が赤くなるのを感じた。
クロームが伝えたのだろうか。
やはり相談などしなければ良かったと、雲雀は後悔した。
「もしご存知でしたら、伝えて置いてください。
…僕が愛しているのは、君だけだと。」
「…ッ!」
「…では、僕はこれで…失礼します。」
バーを出て行く恋人の後ろ姿を、雲雀はあわてて追いかけた。
クロームに、今日は用事が出来たので飲みにいけないという、
メールを送信することを忘れずに。
無我夢中
(何かに心を奪われ、われを忘れること。)