企画部屋!
□ヒ
1ページ/1ページ
※+10years
ある日の、穏やかな午後の事。
「雲雀くん、紅茶と緑茶どちらがいいですか?」
「緑茶」
即答する雲雀に、骸は苦笑した。
「ほんとに日本のものが好きですね」
「うるさいな」
「いえいえ、別に馬鹿にしている訳ではありませんよ…
確かお湯は30℃くらいが適温でしたよね」
雲雀は、お茶を運んでくる骸を見て思い出し笑いをした。
十年前、骸にお茶を淹れるように頼んだら、なんとお茶に砂糖を入れて持ってきたのだった。
しかも大量に入っていて、とても飲めたものではなかった。
『え?緑茶には砂糖を入れないんですか?』
とか言っていた頃よりは、
「君も成長したよね」
雲雀がしみじみと言うと、骸は少し顔を赤くした。
「あれはしかたがないでしょう」
「しかたがなくないだろう、どう考えてもさ…」
あれから骸は特訓をしたらしい。
雲雀は骸が入れるお茶はおいしいと認めざるを得なかった。
二人は任務が重なることが多いため、会えないことが多い。
骸と過ごすこの時間が、雲雀の心の癒しで、楽しみでもあった。
「骸」
「なんでしょう」
「お茶ではなく、そろそろ君を堪能したいな」
珍しい雲雀の誘い文句に、骸は目を見開いたが、すぐにいつもの笑みを浮かべた。
「いくらでも、堪能させて差し上げますよ」
雲雀は、骸の口付けで乾いた心が満たされていくのを感じた。
Hearing
(心の癒し)