月下の記憶
□月下の記憶 第八夜
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あの子の何者にも屈することのない強い瞳が
――僕は好きだった。
「ひっ・・・こんなの聞いてねぇぞ・・・」
骸の紅くなった瞳を見て、男は完全に怯えていた。
「こんなの・・・こいつ・・・
化け物じゃねーかぁ!!!!!!!」
ピクリと反応する骸。
「久しぶりですね・・・
この僕をここまで怒らせるとは・・・
くふふふ・・・死んでいただきましょうか」
するりとロープがひとりでに解け、骸は自由を取り戻す。
ゆらりと立ち上がった骸の
殺気に足がすくんで動けない男たちは、
恐怖の叫び声をあげた。
「くふふふふ・・・くはははははは!!!!」
もはや骸に理性はなかった。
一番近い男へ手を伸ばし、
首へ手をかけようとして――
『人殺しはもう、しないんだろ?』
誰かの声が頭に響いた。
(あ・・・)