月下の記憶
□月下の記憶 第七夜
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町に向かって歩く骸は、怒ったようにつぶやいていた。
「まったくあの人は・・・
無茶なことばかり言って・・・」
骸が不機嫌な理由、それは――
“二話分の小説をがんばって書けよ・・・一週間以内にな。”という、
リボーンの優しい言葉が書かれた手紙が送られてきたからだ。
リボーンは骸の小説をまとめて出版してくれている。
恩人ということもあり、
リボーンの言うことに(渋々)したがってしまう骸だが、
不満はどうしても拭えなかった。
「そういうことはいつも早めに、と言っているのに!
・・・あの人の場合はわざとでしょうけど・・・!」
だが、リボーンはやれないことは、
強制的にやれとは言わない。
それがなんだか信頼されているようで。
嬉しかったりもするのだが。
あいにく、小説を書く紙を切らしていることに気づき、
町に出かけることにした骸。
気が立っていた彼は、後ろから忍び寄る影に気づかなかった。