月下の記憶
□月下の記憶 第五夜
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ただでさえ寝不足の骸は、
早朝に戸を乱暴に叩く音で目が覚めた。
「こんな時間にお客様ですか・・・」
あきらかに今の骸は不機嫌そのものだった。
無理もない、彼は2時間前まで幕府に取り調べをされていたのだから。
「・・・最悪です・・・」
うんざりしながらそう呟くと、
戸を開けるために立ちあがった。
骸が襖に手をかけた――その時。
ものすごい破壊音が骸の家に響いた。
「!?? 何事です!?」
一気に眠りから覚醒した(させられた)骸は、
玄関での光景に絶句した。
――扉は見事に破壊されていた。