長編番外編

□藍色の記憶
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―物心ついたときから独りだった―・・・









「おぃっ、そっちに行ったぞ!!」

「くそっ、なんてすばしっこい・・・!!」









夜の江戸の町を駆ける黒い影。

その影はとても、小柄だった。


「はぁ・・・はぁ・・・はっ・・・」


その小柄な影は、細い路地の物陰に隠れると、どさりとその場に座り込んだ。

「う・・・」


右腕をかばうようにして座り込む小柄な影は、まだ10代前半の少女だった。

(怪我、しちゃった・・・)


利き腕の右腕を傷つけられてしまった―


(今度こそ・・・つかまってしまうかも・・・)



少女はひざに顔をうずめた。








その少女は、捨て子だった。

親を知らない少女は、生きるために何でもしなければならなかった。


そう、それが例え、

悪いことだとしても―






「人間なんて・・・不公平だわ。」

ぼそりとつぶやいた言葉。










「それは僕も同感ですねぇ。」


まさか返事が返ってくるなんて思いもよらなかった。
          
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