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□白と君
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白は結構好きな色だ。


何ものにも染まってしまう色・・・


一見は弱そうに思える。


けれど、暗闇の中では明るい光を放つ。



まるで骸みたいだ、って思うのは僕だけなのかな。









「明日は、珍しく大雪が振るそうですね。

 風邪を引かないように・・・

 ストーブをちゃんと付けておかないといけませんよ。」


「わかってるよ。」


わざわざ任務中のイタリアから電話してきた骸。


子供じゃないんだから・・・

と言うとクフフ、という独特の笑いが返ってきた。


ムカついてきたので電話を切ろうとすると、


「Ti amo・・・恭弥」


なんてわざと低い声で囁くから。


僕の顔が一瞬にして真っ赤になったのは言うまでもない。


電話の向こうの骸の顔が目に浮かぶようだ。


きっと、いたずらが成功したときの子供のような、

そんな表情。


今度こそ本当に電話を切ってやった。









真っ白にそまった誰もいない朝の公園。


そんな世界の中、僕はざく、ざく、

とわざと音を立てながら歩いていた。


(寒、)


は、と手に息をかける。

吐き出した息も白だった。


すぐそばに骸がいるようで、ひどく安心した。





―――白は骸にぴったりの色だと思う―――



そう骸に言うと、``全然似合いませんよ''

って笑われたんだっけ。







雲雀は、後ろから聞こえてくる足音に気づくと

口角をあげた。


なんとも早いご帰還だ。



振り向くと、骸はもうすぐ後ろに立っていて。





唇に温かいものを感じて、

雲雀はそっと目を閉じた。











Ti amo.=あなたが好きです。



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