Cherry * life
□Meeting * life
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出会いと別れの季節と呼ばれる日本の春。
太陽の暖かい日差しに、冬の間窮屈そうに
身を縮めていた花たちは次々に開花していく。
桜の木も、満開の花を風に揺らしていた。
そんな光景を、電車の中から少年――雲雀恭弥は、
ぼーっとしながら眺めていた。
電車のゆれは眠りを誘う。
雲雀は、乗り物に乗ると寝てしまうという、
悪い癖があった。
(寝ちゃ、だめ、だ・・・)
そう思って必死に眠気と格闘するものの、
とうとう耐え切れずに目を閉じてしまった。
やさしく揺り起こされる感覚。
いつの間にか寝てしまったのか、と思い目を開けると。
雲雀はぎょっとした。
自分は誰かに肩を貸してもらっているではないか。
恥ずかしさで顔が真っ赤になるのがわかる。
(あ、穴があったら入りたい・・・!!)
゛肩を貸してくれた誰か″は雲雀を見るとにっこり笑った。
「クフフ、可愛らしい寝顔でした。」
少年はさらに赤くなった雲雀を面白そうに眺めた。
「もう寝てはいけませんよ?
気をつけてくださいね」
そういうと濃紺の髪を揺らして少年は電車を降りてしまった。
あわてて雲雀が追いかけたときには、
彼の姿はなかった。
「名前、」
(また、会えるかな・・・)
出会いの季節は、まだ始まったばかり!
おまけ→