聖皇女コーネリア

□第12章
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とはいえ、エディは初対面の時からアケメネスをすっかり意識してしまっている。
男だと知った後も……だ。

たとえ、彼の姉や妹が現れたとしても、本人の代わりにはならないだろう。

その事は分かってはいても、結ばれない悲しみを癒したがっているのかもしれない。
また、女好きとして訊ねずにいられなかったのだろう……きっと。

非常に珍しいケースかつ、偏見もまだまだ存在するがユニヴェールでは同性間の婚姻が認められている。
しかし、その比率は圧倒的に少ない。

異性同士の結婚が“常識”で“普通”だと考える大多数の人間からは、極めて“異常”で“異端”な事とされている。
かなり理解ある者でない限り、親兄弟親類縁者
、知人友人職場関係者、あらゆる人々から顰蹙を買ってしまう。

そういったリスクを覚悟の上で、本当にその相手と添い遂げたいと願った者しか同性婚に踏み切らないのだ。
大抵のカップルは世間体や対面を気にしてしまい、結婚に至らないケースが多い。

まして、高い身分や責任ある立場の者ならば、同性との婚姻などほぼ不可能である。

エディは将来、父親の後を継がなくてはならなかった。
当然ながら自身も然るべき女性と結婚し、後継者をもうける義務がある。

義務を果たす為に親の選んだ相手を妻に迎えつつ、陰で恋人を作る……などという話は、上流社会では珍しくはない。
国によってはそれが、上流階級のステータスと捉えられてさえいる。

だが、その相手が同性というのは殆どない。
万が一にそういった事があったならば、とんでもない醜聞になってしまいかねなかった。

まさに、前途多難な恋といえよう。

「……姉妹はいないが、伯母や従姉妹達ならいる」

「おお! それは本当ですかっ!?」

アケメネスの答えに、待ってましたとばかりに食い付くエディ。
多少年上でも、美しかったらばっちり許容範囲なのである。

「言っておくが伯母上達は皆、結婚済みだぞ? 従姉妹達もそれぞれ決まった相手がいるか、幼いかのどちらかだ」

続く言葉に、喜びの気持ちがしおしおと萎んでいってしまう。


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