聖皇女コーネリア

□第6章
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放り込まれた時の勢いで床に転がされてしまったディオン。
両腕を縛られている状態で起きあがるのは困難である。

目覚めたのは良いものの、結局は床にゴロリと寝そべったままでいる事にした。

「そんな沈んだ顔をするなよ。綺麗な顔が台無しになっちまうだろ?」

床に転がった体制で顔をコーネリアに向けながら、ディオンは軽口を叩く。
落ち込む彼女を少しでも元気付けようと思っての事だ。

「俺が気絶していた時に、魔法で怪我を治してくれたんだよな? サンキューな」

屈託のない笑顔で礼を言うディオン。
どうしてその事が分かったのだろうかと、コーネリアは首を傾げる。

「いえ、どう致しまして。……あの、どうして分かったんですか? ディオンさんは気を失っていたのに……」

「どうして……って、目が覚めたら殆どの傷が治ってたからな。それで分かったんだよ。ああ、コーネが回復してくれたんだなって」

説明を聞いたコーネリアはなる程……と納得した。

現在、自分達が置かれている状況をどう打開するか、二人は話し合う。

「とにかく、何とかしてここから出なきゃな……」

ディオンもコーネリアも納屋……否、このロデリア村から一刻も早く離れたいと思っていた。
散々、酷い目に遭ってしまったのだ。
二度とこの村に関わりたくないと、本気で思ってしまっている。

だが、脱出しようにもその方法がない。
外側から誰かが開けてくれるまで、二人は外に出る事が出来ないのだ。

つまり、村長がコーネリア達を解放する気にならない限り、ずっと納屋に閉じ込められたままなのである。
いつ解放されるかも分からない以上、のんびりとその時を悠長に待つのは勘弁だった。

――わたくしがこうしている今も、魔の王の軍勢がどこかの国を侵略しているかもしれませんもの……。

使命を果たす為、このような所で躓いている訳にはいかない。
そう思えば思う程、コーネリアの気持ちは焦ってしまう。

そして、それと同時に後悔と自己嫌悪に苛まれるのだ。

自分のせいでこうなってしまった……と。

「……ごめんなさい、ディオンさん」

ぽつりと漏らされた謝罪の言葉。

「私が軽はずみに一人で外出したせいで、こんな事になってしまって……。本当に……ごめんなさい!」


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