聖皇女コーネリア
□第6章
2ページ/19ページ
放り込まれた時の勢いで床に転がされてしまったディオン。
両腕を縛られている状態で起きあがるのは困難である。
目覚めたのは良いものの、結局は床にゴロリと寝そべったままでいる事にした。
「そんな沈んだ顔をするなよ。綺麗な顔が台無しになっちまうだろ?」
床に転がった体制で顔をコーネリアに向けながら、ディオンは軽口を叩く。
落ち込む彼女を少しでも元気付けようと思っての事だ。
「俺が気絶していた時に、魔法で怪我を治してくれたんだよな? サンキューな」
屈託のない笑顔で礼を言うディオン。
どうしてその事が分かったのだろうかと、コーネリアは首を傾げる。
「いえ、どう致しまして。……あの、どうして分かったんですか? ディオンさんは気を失っていたのに……」
「どうして……って、目が覚めたら殆どの傷が治ってたからな。それで分かったんだよ。ああ、コーネが回復してくれたんだなって」
説明を聞いたコーネリアはなる程……と納得した。
現在、自分達が置かれている状況をどう打開するか、二人は話し合う。
「とにかく、何とかしてここから出なきゃな……」
ディオンもコーネリアも納屋……否、このロデリア村から一刻も早く離れたいと思っていた。
散々、酷い目に遭ってしまったのだ。
二度とこの村に関わりたくないと、本気で思ってしまっている。
だが、脱出しようにもその方法がない。
外側から誰かが開けてくれるまで、二人は外に出る事が出来ないのだ。
つまり、村長がコーネリア達を解放する気にならない限り、ずっと納屋に閉じ込められたままなのである。
いつ解放されるかも分からない以上、のんびりとその時を悠長に待つのは勘弁だった。
――わたくしがこうしている今も、魔の王の軍勢がどこかの国を侵略しているかもしれませんもの……。
使命を果たす為、このような所で躓いている訳にはいかない。
そう思えば思う程、コーネリアの気持ちは焦ってしまう。
そして、それと同時に後悔と自己嫌悪に苛まれるのだ。
自分のせいでこうなってしまった……と。
「……ごめんなさい、ディオンさん」
ぽつりと漏らされた謝罪の言葉。
「私が軽はずみに一人で外出したせいで、こんな事になってしまって……。本当に……ごめんなさい!」
.