聖皇女コーネリア

□第13章
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コーネリアがミラネと初対面していた頃、アケメネスは上官へ報告を行っていた。
その相手とは彼の所属する第七小隊を含む、五つの小隊で構成された第二中隊の隊長である。

そして、更にその横に……もう一人。

「……それで、貴殿の隊はまんまと罪人達に逃げられてしまったのだな」

巡礼船で発生した事件の報告を聞き終えた後、もう一人の人物が口を開いた。
アケメネスは不動の姿勢を崩さないまま、「ハッ!」と返事をする。

「申し訳ございません、ペルーシャ団長。これも全て、隊長である私の力不足が招いた結果……。いかな処罰も受ける覚悟は出来ております」

中隊長と並んで立つ人物の名は、神聖騎士団団長アルサケス・ペルーシャ。
アケメネスの実父である。

たとえ実の親子といえども、今は職務中。
交わされる会話に親子の情などは一切なく、あくまで上官・部下として対面しているにすぎない。

だが、それも当然の事。
自分の息子だからといって、甘やかしたりなどすれば贔屓になってしまう。

団を束ねる長という立場上、特定の者をえこひいきするのは許されないのだから……。

本来、報告は直属の上司にするだけで良いのだが、今回は事件が事件なだけに最高責任者である騎士団長にも同席を願ったのだった。

「貴殿への処分は……重いものになるだろう」

溜息と共に、アルサケスは告げる。

魔者と取引をするという、人類への裏切り行為を働いた重罪人を取り逃がしたのだ。
重い処分を受けるのは、仕方がないだろう。

アケメネスもその覚悟は出来ている。
だから、その言葉に何の躊躇もなく答えた。

「ハッ、覚悟しております」

「……ともかく、その“繁殖所”とやらを早急に見つけださねばなるまい。それと、民への注意喚起も行わなければ」

そう呟いた後、半ば空気と化していた中隊長へと向き直る。

「シューメーカー中隊長、教団のギルド責任者を呼び出してくれ」

ギルドを通し、世界中に“繁殖所”の存在と警戒を促すのだろう。
その他にも神聖教の名の下、各国の元首に文書を送る手はずも整えるつもりだ。


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