聖皇女コーネリア

□第12章
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宣言した通り、謝罪の為にアケメネスがエディを訪ねて来た。
船室に入るなり、彼は直立不動で詫びの言葉を口にする。

「先程は大変失礼をしてしまい、本当に申し訳なかった……。どうか非礼を許して欲しい」

深々と頭を下げる小隊長はまさに生真面目、堅苦しいという表現がよく似合う。
逆に謝られている方が恐縮してしまうぐらいだ。

「そんな、気にしないで下さいよ。元はといえば僕が悪いのですから」

頭を下げたままの彼に、エディがやんわりと声をかける。
殴られたのは自分が全面的に悪いと自覚しているので、アケメネスの事はこれっぽっちも恨んでいないのだろう。

けれども、真面目が鎧を着て歩いているような人間のアケメネスは、なかなか引き下がろうとしなかった。

「しかし……」

「いいじゃねぇか。本人がああ言ってるんだしさ」

そこにディオンがさり気なく助け船を出す。
彼としてはいつまでも謝られるのは面倒なので、そうしただけなのだが。

するとエディも身を乗り出して、更に言葉を重ねる。

「そうですよ! 僕はちっとも怒ってないんですから。それでも気が咎めるのでしたら、そうですねぇ……」

一旦言葉を切ると、満面の笑みを浮かべた。
黙っていれば二枚目なだけに、その笑顔は人目を惹き付けてやまない。

ほう……と、誰のものか分からぬ溜め息が漏れる。

「貴方にご姉妹がいらっしゃったら、僕に紹介して下さいな」

「……は?」

ポカン、と思わず口を開けたまま固まってしまう、美貌の騎士団長。
コーネリア達も呆気に取られている。

というか、初対面の時も殴られる前に、そんな事を訊いていたような気がするが……。

「ですから、アケメネスさんにお姉様か妹君がいらっしゃったら、是非とも仲良くなりたいな〜っと思いまして」

アケメネスがこれだけ美しいなら、姉妹がいれば相当の美人に違いない――。
彼はそう考えたのだろう。


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