聖皇女コーネリア

□第3章
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闇の世界――。
そこは醜悪な魔物や、闇に魅入られし種族……魔者が暮らす世界。
人間界の者達が光の女神エスポワールを信仰するように、彼らにも崇め奉る神がいた。

その名は闇の神デゼスポワール。
争いと欲望を好み、平和や正義を憎む邪悪な存在である。

この世界は人間界と違い、ただ一人の王によって支配されていた。
その王こそコーネリアが封じるべき人類の脅威、魔の王なのである。

闇の世界にそびえ立つ禍々しい城塞、パンデモ二ウム。
玉座の間にて魔の王は、配下である四天王にこう告げた。

「使い魔からの知らせによると、アリストレアの皇女が都を立ったそうだ」

その声音は苦々しげで、皇女の存在を疎む感情が込められていた。
とうとうこの時が来たのか――。
居並ぶ四天王達は互いにそう、囁き合う。

「我が封印より解き放たれてから、かれこれ十六年……。お前達の働きにより人間界の約半数を、我の掌中へと収める事か出来た」

封印されていた千年間、彼は何もせずのんべんだらりと過ごしていた訳ではない。
来るべき復活の刻に向け、着々と軍備を整えていたのだ。
人間達の世界をも自分の支配下に置く為に――。

闇の世界と人間界を隔てる封印が解除されてすぐ、魔の王は各国に魔軍を送り込んだ。

それを指揮していたのが、ここに集う四天王らである。
彼らが率いる魔物の軍勢は世界各地を蹂躙し、たった一年足らずで三大国とエイディン島を除く半数近くの国家を、乗っ取ってしまった。

神聖教の聖地として定められたかの島……その四方には、初代聖神官マリアンナが設置した結界器が存在する。

そのおかけで魔軍の襲撃を退けられたのだ。


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